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1969年
殺し屋の烙印(Charro!)
歌はタイトルバックで流れる1曲のみで、シリアスな西部劇に挑戦。きれいな衣装はなく、あごひげも剃らず、歌は全く歌わない新しい役柄だったが、評価はされなかった。日本では、「バギー万才」の失敗以降の3作は未公開。
トラブル・ウィズ・ガール(The Trouble with Girls)
ショトーカ(夏期の教育活動)で田舎を訪れた責任者という役。演技している時間が短く、歌も4曲で、内容も今ひとつだったが、幅の広いもみあげとクリーム色のスーツ姿が格好いい。
チェンジ・オブ・ハビット(Change of Habit)
31本目、そして最後となるエルヴィス主演映画。カムバックTVスペシャルと同時期に制作された。
スラム街で働く医師に扮し、前髪をたらしているが、もみあげが太く精悍な印象だった。それまでのエルヴィス映画と違って、実は尼僧である看護師3人とのかかわりからいろいろな社会問題を提起するという内容。歌は主題歌と劇中に3曲歌っている。
エルヴィスの演技に熱が入っていないようにも見えるが、ファンの間では素な感じのエルヴィスが見られるということでそれなりに評価もある。
1970年
エルヴィス・オン・ステージ(Elvis: That's the Way It Is)
1970年7月から9月まで、3回目となるラスベガス インターナショナル・ホテルでのステージを中心にMGMの撮影が行われた。長期の映画契約が終了、しライヴ活動が可能となったエルヴィスの完全復帰を記録したドキュメンタリー映画である。リハーサル風景、ファンのインタビュー、楽屋風景、ステージなどが記録された。
この映画により世界中の人々がエルヴィスの復活を目の当たりにし、新たなるエルヴィス・ブームが巻き起こった。ライヴ・レコードもよく売れた。レコードだけ聴くと歌が途切れたり、息を切らしたりする部分があるが、映画を観ればどれだけエルヴィスが動き回ってパフォーマンスを披露していたかがよくわかる。
世界中の多くエンターテナーが、エルヴィスこそが本物のエンターテナーだと褒め称えた。「エルヴィス・オン・ステージ」は日本でも大ヒットし、エルヴィス人気が復活した。
現在、その映像は2000年に最新技術を駆使してリメイクされ、「エルヴィス・オンステージ スペシャル・エディション」としてDVD、あるいはブルーレイで楽しむことができる。すばらしい声の張り、体の動き、ライヴ公演復帰初期のエルヴィスを堪能できる。
1972年
エルビス・オン・ツアー(Elvis on Tour)
「オン・ステージ」の続編として、1972年4月に12州15都市で行われたツアーの模様を描いたドキュメンタリー。ステージ映像の合間に、リハーサル、楽屋、移動の車内、若き日の映像、ファンの声などをはさみながら、マルチ・スクリーンを多用して映し出している。
ゴールデン・グローブ賞「最優秀ドキュメンタリー作品」の栄誉に輝いた。「オン・ステージ」に比べるとふっくらして、動きも少なくなっているが、円熟味を増した熱唱する姿は圧巻。